kramija’s blog

アニメの女の子と現実のオタクの話をします。Twitter:Pasupu_otaku

第七新東京区の空

  夜空に瞬く星の正体が何億光年もの距離を隔てて光る恒星であることは我々の広く知るところでありますが、この事実は太古の昔から人類が抱く星空のイメージを何ら損ねることはありませんでした。翼を持たない我々の祖先にとっても、様々な科学の翼を手に入れた現代人にとっても星空は、手が届かないからこそ美しい。これはきっと、2032年においても同じでしょう。

  7thシスターズはファンにとって星のような存在であったに違いありません。卓越したカリスマ性や圧巻のパフォーマンスは彼女たちをはるか天上の存在たらしめるのに十分だった。きらきら輝く星たちは、手が届かないとわかっていてもやはり綺麗です。いや、手が届かないとわかっているからこそ、はるか遠くにあるからこそ、自分の抱えるちっぽけな悩みなんて忘れて見入ることが出来るのでしょう。人は星空を見る時、自分を忘れている。

 

  七咲ニコルは「すごいね」と言われるのが嫌だった。みんなと一緒に歌いたいのに、みんなと一緒に踊りたいのに、「わたしと違って歌がうまいね」「すごいダンス、わたしにはできないなぁ」。誰も、星に手を伸ばそうとしない。輝く星を見るだけで輝こうとしない。だから“すべてを壊した”のかもしれません。彼女は、星空の下で夢を見ていたファンを太陽が照らす現実──青空の下に引き戻した。

  九条ウメという少女がそうであったように、人々は戸惑い、悲観し、挫折しながらも少しずつ歩みを始めます。夢から覚めた我々は一歩一歩進むしかない。苦しい時もあるでしょう。嬉しい時もあるでしょう。そんなとき、ふと見上ればそこにはいつも青空があります。青空は額に汗して歩く人の手を取って導くことはできません。しかし、いつもそこにある青空が誰かの足取りを少しだけ軽くする。人は青空を見る時、人生を、行く先を、自分を見ている。そんな青空こそ、伝説のアイドルが目指し、終ぞ叶わず、次の世代に託したアイドルの在り方だったのでしょうか。

  777☆SISTERSの代表曲である「僕らは青空になる」には象徴的な歌詞が何度も登場します。「その勇気は“奇跡じゃない”」「この夢は“まぼろしじゃない”」。この歌を歌うのは他でもない、夢から覚めた第七新東京区で結成されたアイドルたちです。

 

  先日、アプリの新バージョンがリリースされました。来月には幕張メッセで二日間にわたる3rdライブが開催されます。勢いを増す彼女たちが次はどんな景色を見せてくれるのか楽しみにしつつ、明日も生きねばなりません。時々足を止めて、空を仰ぎながら。